今年のジャパンカップの注目は何といっても3頭の3冠馬による豪華競演に尽きるでしょう。
日本競馬史において、3頭の3冠馬が顔を合わせることは史上初となりますし、おそらくこの先10年、20年それ以上の半世紀は語り継がれることとなるはずです。
この豪華競演が実現できることになったことは陣営の大英断であり、関係者の尽力によるものなのでおおいに感謝しています。
今日はその3頭の3冠馬について考察していきます。
過去5年のジャパンカップでの1F毎のレースラップ、ダービー、オークスでのレースラップからレース展開や仕掛けどころがどういったものだったのかを考察していきます。
馬場差や風向き、レース質など異なる部分はありますが参考にはなると思います。
2019年ジャパンカップ(重馬場)
12.8 – 11.3 – 12.3 – 12.2 – 11.7 – 12.2 – 12.1 – 12.0 – 12.1 – 12.4 – 12.2 – 12.6
【前後半差0.9秒前傾】【上り4F 49.3 – 3F 37.2】
2018年ジャパンカップ(良馬場)
12.9 – 10.8 – 12.2 – 12.3 – 11.7 – 11.8 – 11.7 – 11.4 – 11.4 – 11.0 – 11.4 – 12.0
【前後半差2.8秒後傾】【上り4F 45.8 – 3F 34.4】
2017年ジャパンカップ(良馬場)
13.0 – 11.2 – 12.1 – 12.1 – 11.8 – 12.1 – 12.3 – 12.2 – 11.8 – 11.3 – 11.8 – 12.0
【前後半差0.9秒後傾】【4F 46.9 – 3F 35.1】
2016年ジャパンカップ(良馬場)
13.3 – 11.3 – 12.6 – 12.3 – 12.2 – 12.5 – 12.7 – 12.3 – 11.9 – 11.2 – 11.4 – 12.1
【前後半差2.6秒後傾】【上り4F 46.6 – 3F 34.7】
2015年ジャパンカップ(良馬場)
12.7 – 10.8 – 11.7 – 12.1 – 12.0 – 12.3 – 12.6 – 12.7 – 12.5 – 11.8 – 11.5 – 12.0
【前後半差1.5秒前傾】【上り4F 47.8 – 3F 35.3】
過去5年で前傾ラップだったのは2回、これは過去10年を見ても前傾戦は2回でした。
過去のレースラップを見る限り前半はゆったり入り、後半での勝負と考えられます。
東京競馬場という事もあり、ラスト3Fの瞬発力勝負に比重を置かれるとは思いますが、道中のペースが上がらず単純なラスト3F戦となったのは2010年と2015年でした。
過去10年の上がり1位馬の成績は(1-3-2-6)勝ち切ったのはブエナビスタのみ。
その他の年は、道中に11秒台を踏みつつ、或いはラスト5~4Fに分散して早めの仕掛けから持続力勝負という傾向がありました。
2019年は重馬場だったので比較としては難しい部分はありますが、2F目~ラスト2F目までが11秒台後半から12秒台前半で淡々としたレースとなっています。
(上を見ても分かるように12秒後半のラップを踏むことが稀で、重馬場の2019年でさえ道中12秒台後半のラップをふむことはなかった。)
2018年オークス(良馬場)【勝ち時計2:23.8】
12.6 – 11.1 – 12.0 – 11.9 – 12.0 – 12.2 – 12.4 – 12.3 – 12.4 – 12.2 – 11.1 – 11.6
【前後半差0.2秒前傾】【上り4F 47.3 – 3F 34.9】
2020年オークス(良馬場)【勝ち時計2:24.4】
12.3 – 11.1 – 12.0 – 12.3 – 12.1 – 12.7 – 13.0 – 12.6 – 12.1 – 11.2 – 11.2 – 11.8
【前後半差0.6秒後傾】【上り4F 46.3 – 3F 34.2】
2020年ダービー(良馬場)【勝ち時計2:24.1】
12.6 – 11.3 – 12.9 – 12.6 – 12.3 – 11.8 – 12.2 – 12.3 – 11.8 – 11.3 – 11.3 – 11.7
【前後半差2.9秒後傾】【4F 46.1 – 3F 34.3】
対して、同舞台で行われるオークス、ダービーは今年は両者12秒台後半、13秒と道中はかなり緩んでいることが分かります。
アーモンドアイのアイの勝ったオークスは道中12秒台後半の緩みはありませんが、ラスト2Fの瞬発力勝負でした。
以上、3頭の3冠馬の比較をしてみてアーモンドアイのオークスは2Fでの瞬発力勝負とはいえ、その後のジャパンカップや古馬となってからのレースを見ても分かるように、純粋な上り勝負に特化したタイプではなく持続力も持ち合わせていることが分かります。
コントレイルはゲートセンス、ポジショニングセンスは抜群で、後半要素としてもダービーではラスト4Fの分散するラップで且つ上り最速2F並んだレースや神戸新聞杯のように一瞬で抜け出す加速力を引き出す強みがあります。
デアリングタクトは両者のオークス、ダービーでの上り3Fを上回る上りのレースで馬群の間を一気に割ることが出来る加速力と勝負根性を見せていて、桜花賞でもあの馬場の中届かないような位置からの完勝と後半要素の爆発力があります。
3頭それぞれに適性は示せているとは思うのですが、3頭共に少なくはない不安要素がありますしジャパンカップは国内での古馬最高峰に位置づけられるレースだけに馬場バイアスや枠順、レース展開などを十分考慮したうえで、レースを迎えたいと思っています。