これからは競馬の祭典ダービーについて過去10年のレースを振り返り、どういったレースとなっていたのかを幾つかの視点から考察していきます。
これからご紹介していくモノはあくまでも過去のモノとなりますが、過去のレースを見ていく中で今年のダービーへのヒントとなる事があるかもしれません。
これは過去10年のダービー(東京2400M)を前半6F(1Fは200M)、後半6Fに分けたそれぞれのタイムと前後半差を表したものです。
*前後半差の+は前傾戦、-は後傾戦となります。
上の表を見ていくと今年で88回目を迎えるダービーも、過去10年という短いスパンでも変わってきていることが分かります。
2011年から2015年の5年間と2016年から2020年の5年間では、2011年こそ不良馬場での開催となってはいたもののその他の4年間での勝ち時計は
最も速い年で2.23.2
最も遅い年で2.24.6
と、1.4秒程度しか違わないのに比べて、2016年から2020年の5年間では
最も速い年で2.22.6
最も遅い年で2.26.9
と、4.3秒も開きがあります。馬場の状態やその年の展開等からこの時計の開き自体は特別に分析していくことはしませんが、こういった傾向があるという事はアタマの片隅に置いていても良いとは思います。
次に大きく異なる点として、2012年と2019年こそゼロス、リオンリオンという玉砕覚悟の大逃げを打ったこの2頭によって2.2秒、3.0秒の前傾戦となっていますが、その2年を除けば2011年から2015年では
2014年1.2秒の前傾戦
2011年0.3秒の後傾戦
と、前後半差のタイムがほぼイーブンに近い形、もしくはやや前半が速くなっているのに対し、2016年から2020年では
2017年4.5秒の後傾戦
2016年1.8秒の後傾戦
と、4年で後傾戦となっていました。
次に見ていただくモノは、前半4F、中盤4F、後半4Fのタイムと中盤と後半のタイム差を表したモノです。
*赤字はレースを4F毎の区間において最も遅い区間となります。
2012年、2019年のように大逃げを打つ存在がいれば中盤から後半のタイム差は無いに等しくなり、2020年のように1角で17番手だったマイラプソディが向こう正面で先頭に立った年は前半4Fが最も遅くはなっているものの、10年中8年で中盤のタイムが最も遅くなっています。
という事は、中盤が緩んで後半の上り勝負になりやすいレースの傾向が強く、且つ先程の表を見る限り直近5年の傾向からは、より後半の要素が問われるレース(上り勝負)になる傾向が見て取れます。
全てのホースマンが、とまでは言えませんが多くの関係者(生産者、育成者、オーナー、厩舎関係者、ジョッキー)の方々が目指すレースであり、ダービーへの意気込みや情熱、執念といった様々な想いをジョッキーも分かっているからこそ、慎重になるが故に仕掛けるポイントがより後半になる傾向もあるという事なのでしょう。