春のG1シリーズ最終戦であり、上半期の総決算でもあるグランプリ宝塚記念を、今日と明日の2日に渡って幾つかの視点から考察していきます。
このレースの特徴としては、非根幹距離となる2200Mという距離と梅雨時期の開催である為、タフな馬場で行われやすいことが挙げられます。
クラシックや主流G1が、400で割れる数字の距離となる根幹距離であるのに対して、グランプリレースである有馬記念と宝塚記念は、400で割れない数字となる非根幹距離でのレースとなり、舞台となるコースも直線の短い小回りで、ゴール前の急坂を2度超えるコースとなります。そうなると、主流G1において必要とされるスピードや瞬発力勝負で分の悪かった馬が、主流条件とは異なるパワーやスタミナが問われる適性を発揮することによって、これまで幾度となく波乱を演出してきました。
スタートは4コーナーの引き込み地点からとなり、1コーナーまでは約500Mあるうえにスタート後の200Mは下り坂となります。その為、押して行けばポジションが取れるので、テンのペースは上がり易くなります。1コーナーから2コーナーにかけては、コーナー径が小さいので一旦ペースは緩み、先行勢にとってはココで息を入れることになります。
最後の直線は359Mと短い小回りコースということ、3コーナー手前のラスト5F付近から下り坂となる為、持続力が問われるロンスパ戦となる傾向です。
次に、このレースの過去10年のレースラップを前後半5F、前後半差、ペース、前後半3Fのタイムとラスト3Fの上がり1位馬のタイムを見ていただきます。
*前後半差の-は後傾戦となります
馬場差やメンバーによってペースは様々で前半が落ち着く年もありますが、過去10年中前半が34秒台で入るようなレースとなれば前傾戦となり、ラスト3Fもゴール前に急坂があるので、33秒台のキレ味を問われるような瞬発力勝負にはならないことが分かります。
また、前半の3Fは概ね35秒前後なので、レースの入りとしては速くなります。
最後にこのレースの過去10年における、ラスト5Fのラップを見ていきます。
*赤太字は最速地点です。
2021年:12.3 – 11.5 – 11.5 – 11.5 – 11.7
2020年:12.4 – 12.4 – 11.9 – 12.1 – 12.3
2019年:12.0 – 11.6 – 11.5 – 11.4 – 12.4
2018年:11.8 – 12.1 – 12.2 – 11.7 – 12.4
2017年:11.6 – 11.8 – 11.7 – 11.8 – 12.2
2016年:12.3 – 12.2 – 11.9 – 12.2 – 12.7
2015年:12.5 – 11.7 – 11.0 – 11.6 – 12.4
2014年:12.0 – 11.8 – 11.7 – 11.8 – 12.1
2013年:12.3 – 12.4 – 12.7 – 12.7 – 12.6
2012年:12.5 – 12.6 – 11.6 – 11.6 – 12.1
これを見ると、スローペースとなった年でもラスト4F目から11秒台となっています。年によってはラスト5F地点から11秒台となる年もあることから、ロンスパ戦となっていることが分かります。
また、ラスト3~2F目地点での最速が8回となっていますが、後半5Fで最速11秒前半となった2015年と19年はスローペースで後半のロンスパ戦。その他の年では、スローペースの年でも11秒前半のラップを踏むことは無く、ギアチェンジ力や瞬発力が問われないレースということが分かります。
また、太字で示した前傾戦やハイペースとなった年は、後半に11秒台を3回踏むことは無いので、後半消耗戦での持久力や持続力というスタミナが問われる傾向となっています。