今週は歴史と伝統のあるG1天皇賞・春となります。
2年以上に及ぶ京都競馬場の改修工事によって、2022年と21年は阪神競馬場での開催でした。今年の天皇賞・春は3年ぶりに京都競馬場での開催となるので、阪神開催と京都開催の天皇賞・春を振り返りつつ、どのようなレースとなるのか分析していきたいと思います。

上は阪神での天皇賞・春のコース図となります
特徴としては、2週目は内回りコースを使用するので、直線は約356Mと短く、3コーナー部分にあたるラスト800M地点から下り坂となり、ラスト200M地点からゴール前にかけて2Mの急坂があることです。1コーナーから2コーナー(ラスト8目から9F目)にかけては、コーナーの径がきつい為ペースが極端に落ち着きます。また、コーナーでの加速が苦手な馬や遠心力で負荷が掛かる前に、先団との距離を詰めたい後続や中団に位置する馬の押し上げもあり、向こう正面にあたる地点(ラスト6F目)から3コーナー(ラスト5F目)にかけてペースが上がっていきます。
2022年 Mペース 前半5F60.5
12.2 – 12.8 – 13.3 – 12.9 – 12.3
12.0 – 11.9 – 11.5 – 11.7 – 13.2
2021年 Hペース 前半5F59.8
11.8 – 12.1 – 13.1 – 12.6 – 12.1
12.0 – 11.9 – 12.1 – 12.3 – 13.0
次に阪神開催となった過去2年の
ペースと前半5Fのタイム
後半10Fのラップを示したモノです
これを見ても、ラスト8F目では13秒台とペースが落ちていて、ラスト6F目から0.5~0.6秒ペースアップし、12秒前半にペースが引き上がっていることが分かります。レース後半のラップを見ても、11秒台中盤までしかラップが上がっていません。当然ペースアップが速くなればなるほど脚を溜められず、10秒台後半から11秒台前半となるような瞬発力は要せず、12秒台前半の脚を長く使えるスタミナと持続力が必要なレース、ということが分かると思います。

そして京都でのコース図を見ていきます
3200Mは外回りコースを使用し、一周半走るレースとなります。
特徴としては、直線は平坦で約403Mと長く、向こう正面から3コーナーにかけて高低差3.9Mの坂を上って下るコースとなります。スタート後、最初のコーナーまでは約400Mと距離があるので、ポジション争いや先行馬のタイプによって、ペースが上がります。ただ、3200Mと長丁場のレースなので、隊列が決まってしまえばペースは落ち着きやすく、二周目の向こう正面から再び坂を上るため、レースが動きにくいコースとなります。レースが動く地点は二度目の坂を下る、ラスト4F目から一気にペースアップし、直線も平坦なので再加速しある程度の瞬発力も必要なレースとなります。
2020年 Sペース 前半5F:63.0
11.6 – 12.5 – 12.1 – 12.2 – 12.7
12.5 – 11.9 – 11.9 – 11.9 – 12.2
2019年 Sペース 前半5F:59.8
12.5 – 13.8 – 13.3 – 12.4 – 12.5
12.3 – 11.7 – 11.6 – 11.0 – 11.9
2018年 Mペース 前半5F:60.1
12.0 – 13.2 – 12.6 – 12.6 – 12.8
12.6 – 12.1 – 12.1 – 11.4 – 12.4
2017年 Hペース 前半5F:58.3
11.6 – 13.0 – 12.5 – 12.7 – 12.6
12.5 – 12.2 – 11.6 – 11.7 – 12.2
2016年 Mペース 前半5F:61.8
11.6 – 12.9 – 12.6 – 12.6 – 12.7
12.5 – 11.6 – 11.4 – 11.7 – 11.9
上は先ほどと同様に、京都開催時の過去5年のモノとなります
ペースに関しては、その年の逃げ馬のタイプによって様々ですが、ラスト5F目以降は概ね同じようなラップとなっていることが分かります。
特に、下りに入るラスト4F目から一気に0.5秒~0.6秒加速し、平坦部分では11秒台前半となる年もあります。坂の下りで一気にペースアップするということは、坂の上りでポジションを押し上げたり脚を使うと、直線も長いため並の馬だとゴール前に脚が止まってしまいます。
このことからも、ラスト4Fのロンスパ戦となりつつ、平坦となるラスト3F目もしくは、ラスト2F目地点での再加速力とギアチェンジ力が問われるレースとなることも、京都を舞台とする天皇賞・春の特徴となっています。
3200Mを走りきるためのスタミナは勿論のこと、2400Mを走ったうえで、更にラスト4Fのロンスパに対応するスタミナは必要であり、平坦部分や直線部分での再加速するギアチェンジ力と瞬発力も必要なレースということが分かります。
時計やラップはその年の逃げ馬や先行馬のタイプ、馬場状態によって変わるものの、京都開催時における天皇賞・春の傾向は把握できたのではないかと思います。
自分自身が京都開催時の天皇賞・春を見直すとともに、このようなモノを作成しました。
今年は、強力な先行力を武器に菊花賞を制した2頭が出走しますし、これまで先行している他馬の陣営も瞬発力勝負にはしたくないとのコメントがあるので、これまで説明してきた展開とは真逆のレースとなることもありますが、あくまでも傾向として捉えていただければ良いと思っています。
また、ご覧いただいた方の馬券的中のヒントになれば幸いです。