東京優駿・考察①

今週はいよいよ競馬の祭典であり、全てのホースマンの憧れと言っても過言ではない、東京優駿・日本ダービーが行われます。
サラブレッドが生涯に1度しか出走することが許されないダービーは、馬場や距離は違えど世界各国で開催され、近年の日本では種牡馬選定レースと言う側面も持っています。今年は90回という節目の開催となるので、これから過去10年のこのレースを『考察』していきます。

上は、過去10年のダービーの勝ち時計、前半6F・後半6Fのタイム・前後半差を表したモノです。
*前後半差の+は前傾戦、-は後傾戦となります。

馬場差や展開などから一概には言えませんが、近年のダービーの特徴としては、2019年のようにリオンリオンが玉砕覚悟の大逃げを打ち、2022年はデシエルトが向こう正面で後続を4~5馬身離して逃げたという2年を除けば、2016年以降は1.8秒から4.5秒の後傾戦となり、前半はゆったりと流れて後半の1000M勝負になることが多くなっています。また、2022年にレースレコードが出たように勝ち時計も速くなっています。
このことから、スピード競馬への対応と前半にしっかりと折り合い脚を溜めて、レース後半を速く走る能力が問われるレースとなっています。

次に、過去10年の前半・中盤・後半を4F毎に分けて、それぞれのタイムを見ていきます。
*赤字はそのレースでの4F毎において、最も遅いタイムです

これを見ると、過去10年中9年で中盤が最も緩んでいることが分かります。
20年は、前半が遅かったこともあって、1角で17番手だったマイラプソディが向こう正面で先頭に立ったことから、中盤のペースが上がりました。また、先ほど挙げた19年や22年でも、中盤が緩んでいました。そして、後半の4Fが最も速かった年が10年中9回ということからも、中盤で緩んで後半が速くなる、というのがダービーの傾向となっています。

22年 12.3 – 12.0 – 11.811.511.7 – 12.0
21年 12.8 – 11.711.411.510.811.6
20年 12.2 – 12.3 – 11.811.311.311.7
19年 12.3 – 12.4 – 12.2 – 12.0 – 11.9 – 12.0
18年 12.2 – 12.0 – 11.711.211.2 – 12.2
17年 12.1 – 12.6 – 12.7 – 11.510.911.4
16年 13.1 – 11.8 – 12.0 – 11.611.011.6
15年 12.5 – 12.4 – 12.4 – 11.911.011.7
14年 12.7 – 13.6 – 12.2 – 11.611.111.7
13年 12.7 – 12.3 – 11.9 11.611.711.9

最後に、ラスト6F目以降(1200M)のラップを見ていきます
19年は、前半が速かったこともあり、ラスト2F目のみ11秒台となっていますが、その他の年では17年までは概ねラスト3F目から11秒台となり、いわゆる瞬発力勝負となっています。しかし18年以降は、ラスト4F~5F目から11秒台と後半のペースアップ地点が速くなっています。
このことからも、近年は高速馬場となっているだけでなく、ジョッキーの仕掛け意識もこれまでより速くなっているようなので、純粋なギアチェンジ力や瞬発力よりも、持続力や後半のスタミナという要素が必要なレースとなっています。
また、18年以降の5年を見ても、ゴール前に坂のあるラスト2F目地点で最速となっている年が4回あります。この地点で10秒台後半から11秒台前半のラップを刻んでいるので、このラスト2F目でトップスピードに入れるギアチェンジ力も必須ということが分かります。
出走馬が、これまで坂のあるコースで走った、坂地点での加速力を確認しておいても良いと思います。

タイトルとURLをコピーしました