秋のG1シリーズ開幕戦となるスプリンターズSが、過去どういったレースであったのかを幾つかの視点から考察していきます。

先ずはスプリンターズSが行われるコースを見ていきましょう
中山競馬場での外回りコースを使用し、スタートは2コーナーを出て直ぐの位置となり、3コーナーは緩やかなコーナーとなります。国内のスプリントG1は2つとなるので、スピードスターが集まることやゲートを出て3コーナーの中間地点(約500M)にかけて下り坂が続くので、テンのラップは上がり易くなります。直線は310Mと短く、ゴール前には勾配差約2Mの急坂が待ち受けるコースとなります。
2014年の新潟開催を除く過去9年のラップを見ても、テンの2F目で10秒台後半となったのは2回しかなく、10秒台前半となったのは5回だったことを見ても前半からペースが上がり易いということが分かります。これはコースレイアウトだけでなく、国内のスピード自慢が集結することも要因となります。

次に見ていただくのが左から
開催年/馬場
勝ち時計
前半3F(600M)
後半3F(600M)
前半と後半のラップ差
(前半が速ければ-となります)
これを見ても2014年の新潟開催を除いた過去9年で、前傾戦(前半が速い)となった年が7回、後傾戦(後半が速い)となった年が2回であったことからも、このレースが如何に前半からのペースが上がり易いのかがお分かりいただけると思います。
さらに太字で示した2011年〜13年、2018年〜20年に至っては前半が1秒以上速くなっていることからも、このレースでは前半からのハイラップに対して追走するスピードが必要だということがお分かりいただけるはずです。
現状では今年も去年同様、前半からハイラップを演出したモズスーパーフレアやビアンフェが出走してきますし、周りに馬がいると制御すらままならないメイケイエールまでもが出走してくるので、前半からガリガリヤリ合うハイラップになると考えています。
最後に過去9年のこのレースにおける4コーナーの通過順位を見ていきます
出走頭数に対して
赤字は中団もしくは前目の位置
青字は2桁通過順位です
20年 1着馬⑮ 2着馬④ 3着馬⑯
19年 1着馬⑧ 2着馬① 3着馬⑧
18年 1着馬⑧ 2着馬② 3着馬④
17年 1着馬⑩ 2着馬⑦ 3着馬①
16年 1着馬⑦ 2着馬① 3着馬④
15年 1着馬⑨ 2着馬⑥ 3着馬⑫
13年 1着馬⑤ 2着馬① 3着馬⑤
12年 1着馬⑨ 2着馬⑤ 3着馬⑨
11年 1着馬⑥ 2着馬① 3着馬③
好走馬27頭中、20頭が赤字である中団もしくは前目に位置していて、4コーナーを二桁通過順位で好走していたのは僅かに4頭となっていました。(残りの3頭に至っても9番手なので、中団くらいには位置していました)
競馬において前半が速くなる前傾戦となれば、逃げ馬や先行馬は後半に脚を残せないので苦しくなり、中団から後方に位置する馬に流れが向く傾向にありますが、スプリント戦に限ってはクラスが上がるにつれてスピードで押し切ってしまうようなレースが多々見受けられますし、尚且つG1ともなれば、出走馬は前半のハイペースで結果を残してきたような馬が大多数となるので、前傾戦への追走力はほとんどの馬が持ち合わせていると考えていいでしょう。
過去9年で、後方からの好走馬が唯一2頭いた2020年を見ても、勝ち時計1.08.3というのは稍重で開催された2018年と同タイムで、勝ち時計としては最も遅いタイムでありながら、前後半差としては最大のラップ差となる2.7秒であったことからも、如何に前傾戦で結果を残してきた先行勢でも、最後は苦しくなってしまう例外のケースだったと見ていいでしょう。